宅配弁当事業の始め方・開業あたって準備しておくこと
高齢者人口の増加などにより、宅配弁当サービスの需要が高まっています。
配食サービスの市場規模はおよそ1500億円程度で、毎年5~10%の成長を続けています。
市場の成長に合わせてあらたに宅配弁当事業を開業したいと考えている方も少なくないでしょう。
今回は、これから宅配弁当業を始めようと考えている方向けに宅配弁当事業の始め方や開業にあたって準備しておくことなどについて解説します。
開業などに必要な手続き
宅配弁当業の開業にあたっては飲食店の営業許可と開業届が必要です。
営業許可
宅配弁当事業では食材を取り扱うため、営業許可申請を保健所の食品衛生課に申請する必要があります。
さらに、食品衛生法の規定により、食品衛生責任者を店舗に1名配置することになっています。
開業手続き
事業の開業には税務署に開業届を、従業員を雇い入れる場合には労働基準監督署やハローワークに労働保険の申請が必要です。
開業にあたって準備しておくこと
宅配弁当事業を始めるにあたって、いくつか考えておかなければならないことがあります。
営業が始まってしまうとなかなか改善できないケースもありますので、事前にしっかりと考えておくことが大切です。
コンセプト設定
宅配弁当を多くの方に楽しんでいただきたいと考え、幅広い層に向けて多くのメニューを準備しようと考えるケースがあります。
しかし、最初から多くの材料を仕入れて販売することは難しく、なかなか思うように売れないということも珍しくありません。
開業当初は開業エリア内で最も需要の高い客層やメニューの内容に焦点を当て、利益率を意識したメニュー構成を考慮することも大切です。
立地
宅配弁当とは言っても店舗の立地をないがしろにしない方が良いでしょう。
あまりにも分かりにくかったり目立ちにくい場所は避けるようにしましょう。
経費
事業を進めていくうえで、売り上げと経費のバランスは重要です。
特に家賃や人件費は大きな負担となりやすく、十分検討する必要があります。
トラブル対応
宅配弁当業では、想定外のアクシデントにより、時間内に弁当を提供できない、顧客からクレームを受けた、などのトラブルが起こるケースがあります。
事前にトラブルを想定したマニュアルを作成しておく、損害賠償保険などに入っておく、などをしておくことが大切です。
利用するツール
レジや経理事務などはツールを上手に使うと業務をスムーズにできます。
宅配弁当ではクラウドで弁当の配達を管理できるツールがあります。
積極的に活用することで、人件費を抑えながら営業が可能になります。
宅配弁当事業の営業戦略
宅配弁当業をスムーズにスタートアップさせるためには、営業戦略が重要です。
宅配弁当業界には新規参入者だけでなく外食産業も参戦しており、激戦状態になっています。
そのため、営業による新規顧客獲得についてしっかりと考えておく必要があります。
新規営業
新規営業は宅配弁当事業者にとっては重要な営業戦略のひとつです。
顧客に長年注文していただいているからといって油断はできません。
・同じような味とメニューで飽きてきた
・ネットで簡単に注文できる弁当業者を使うようになった
・競合が現れた
・地域住民の層が変わった
など、さまざまな理由で顧客は離れていってしまいます。
新規顧客をいかに獲得していくかが宅配弁当事業者にとって生き残りを左右します。
ホームページを活用
宅配弁当事業の営業戦略のひとつとして、インターネットを活用して販売ができるよう工夫する必要があります。
ホームページはただ作れば良いのではなく、興味を持っていただけるサイトの内容であったり、ホームページから簡単に申し込めるように販売ページを工夫する必要があります。
ホームページは現代では、重要な顧客獲得ツールです。
もちろん、ホームページは個人でも作れますが、専門業者に依頼してきちんとしたものを作成してもらうと良いでしょう。
また、現代社会ではSNSの活用も欠かせません。
SNSから情報を発信し、ホームページへの誘導へとつなげることも大切です。
チラシ・カタログを上手に使い分ける
チラシはキャンペーンなどで使われる販促物、カタログはお弁当のメニューやプランが掲載されている商品カタログです。
チラシやカタログを作るときは、目的を明確にしておかなければ伝わらないものになってしまいます。
新規営業のときはカタログが有効ですし、キャンペーンを打つときはチラシが有効です。
営業の目的を明確にし、チラシやカタログを上手に使い分けましょう。
宅配弁当事業に必要な資格
宅配弁当事業では、次のような許可や資格が必要です。
食品衛生責任者
食品衛生法により、食品を扱う店舗ごとに1名の食品衛生責任者を置くことが定められています。
食品衛生責任者は複数店舗の兼任は認められていません。
また、食品衛生責任者は次のいずれかを満たしている必要があります。
・栄養士、調理師、製菓衛生師、食品衛生管理者などの資格保有者
・食品衛生責任者養成講習会の受講者
・その他、知事などが適正と認めた講習会の受講者
飲食店営業許可
飲食店の開業をする場合に必要です。
飲食店営業許可は「場所」や「設備」に対しての許可ですので、たとえば経営者が変わった場合でも届出を出せば許可を引き継げます。
営業許可を取得するための条件は以下の2つです。
・食品衛生責任者の設置
・営業許可証の申請
そうざい製造業許可
調理した惣菜を包装してインターネット等で販売する際に必要な許可です。
惣菜をほかの場所で卸売りしたり、包装販売、委託販売、通信販売で販売する場合には取得が必要です。
また、たとえば衣を付けるなどの加工はしているものの、油で揚げる前のコロッケやフライのように、最終的に消費者の調理が必要な半製品やチルド製品もそうざい製造業許可が必要です。
申請は製造場所の所在地を管轄する保健所に対して行います。
防火管理者
収容人数が30人以上の規模の飲食店を開業する場合には防火管理者の設置が必要です。
これは店舗の席数ではなく、従業員を含めた収容人数が30人以上の場合は必要となります。
防火管理者の資格取得は店舗の面積によって、受講する講習会が変わります。
しっかりと準備して顧客に支持される宅配弁当に
宅配弁当事業を始める際には、入念な事前準備が不可欠です。
宅配エリアのターゲット層に関する調査や、ニーズに合ったメニュー、配達に関するスキームをしっかりと作っておくことが大切です。
業務を効率化するためのクラウドツールなどを活用する方法もありますので検討してみてはいかがでしょうか。
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